緑内障の精密検査:健康診断で緑内障のうたがいがあった方のために
[最終更新日:2020.06.22]
著者
上江田信彦
医学博士
日本眼科学会認定 眼科専門医
このページの読んでいる方の多くは健康診断などで緑内障の疑いがあるため眼科を受診するよう勧められたのではないでしょうか。このような方は珍しくありません。初期の緑内障は自覚症状がありませんので、自分で目の異常に気付いて眼科を受診なさる方はほとんどいません。
とはいえ緑内障は失明につながることはよく知られていますので、これからどうなるのか、眼科でどんな検査を受けることになるのか不安になるのは無理もありません。そのような方のために眼科で行う緑内障の検査について説明していきたいと思います。
緑内障の検査
眼圧
眼圧とは眼球を内側にかかる圧力です。眼球をまぶたの上から目を軽く押さえるとある程度の硬さがあるのがおわかりいただけると思います。その硬さが眼圧です。眼圧が高いと緑内障が進行しやすくなります。
目に空気を当てて測る方法と、器具を当てて測る方法があります。眼に空気を当ててはかる方法では不快感が少しあります。痛みはありませんがまぶしさと不快感があります。
眼底検査
目の内側(眼底)を観察します。目の内側には目と脳をつなぐ神経(視神経)の根元(視神経乳頭)があります。緑内障では視神経乳頭のへこみ(視神経乳頭陥凹)が大きくなります。眼底検査では視神経乳頭に視神経乳頭陥凹やそれ以外の異常がないかを調べます。眼底の視神経乳頭以外の部分に眼底出血や血管閉塞など緑内障以外の病気がないかを調べます。
目に光を当てて目の内側をのぞきます。記録のために写真を撮る場合もあります。痛みはありませんがかなり強いまぶしさがあります。検査の精度を上げるためにひとみを大きくする目薬(散瞳剤)を使うと、約6~7時間は眼がぼやっとまぶしくなります。
OCT
目の内側で光を感じる神経の膜(網膜)の厚みを測ります。緑内障では視神経乳頭の周囲や網膜の中心部(黄斑)の網膜が薄くなります。
機械にあごを乗せて機械の中の目印をしばらくみつめます。痛みやまぶしさはほとんどありません。
視野検査
目を動かさずにものが見える範囲(視野)の中で見えにくいところが出来ていないかを調べます。視野の中でものが見えにくいところが出来ます。
機械にあごを乗せ、目を動かさないようにして、機械が光を表示したらボタンを押します。痛みやまぶしさはありませんがこんをつめなければいけませんのでかなり疲れます。
隅角検査
検査用のレンズを目につけて、茶色目(虹彩)と白目の境界部(隅角)を観察します。隅角に異常があると眼圧が高くなることがあります。隅角を観察することにより眼圧が高くなる原因を調べます。
麻酔の目薬をいれてから検査用のレンズを目につけて検査をします。麻酔の目薬をいれてしばらくは少ししみますが痛みはあありません。まぶしさはありますが眼底検査ほどではありません。レンズをつけている間の圧迫感と目を傷つけないための保護液によるべたつきがあります。
その他の検査
視力検査 細隙灯顕微鏡検査
炎症など眼圧が高くなる原因や、緑内障以外の病気がないかを調べるのに重要です。
関連ページ
前視野緑内障(Pre-perimetric glaucoma)とは
参考文献
緑内障診療ガイドライン(第4版):日本眼科学会
http://www.nichigan.or.jp/member/guideline/glaucoma4.pdf