原発閉塞隅角緑内障について
[最終更新日:2021.06.17]
著者
上江田信彦
医学博士
日本眼科学会認定 眼科専門医
原発閉塞隅角緑内障とは、他の原因がないのにもかかわらず,体質や,加齢によって虹彩が前に寄り隅角が狭くなることにより眼圧上昇がおこる病気です。患者さんの多くは遠視のある中高年の女性です。
急性緑内障発作
隅角が狭くなることにより眼圧が急激に上昇します。
症状
目がかすんだり光がにじんで見えます。目が充血し痛くなります。重症になると頭痛や吐き気がおこることがあります。このため消化器系や脳の病気と間違われる場合があります。治療をしないと数日以内に失明し、視力は回復なくなります。このため古くから「緑内障になるとすぐに視力が落ちてなおらなくなる」といっておそれられています。
治療
眼圧をさげる薬を静脈注射して眼圧をさげます。
次に再発の予防のためにレーザー虹彩切開術をおこなって、虹彩に穴を空けて房水の流れのバイパスを作ります。白内障手術を行うこともあります。白内障手術をすることにより、水晶体がなくなったぶんだけ虹彩が後ろに寄り、隅角が広くなります。
慢性閉塞隅角緑内障
徐々に隅角が狭くなることにより、眼圧があがります。
症状
原発開放隅角緑内障とにています。徐々に視神経がいたむことにより、視野が狭くなってきます。
治療
レーザー虹彩切開術や白内障手術をおこないます。それで十分に眼圧が下がらない場合には眼圧をさげる目薬を使います。
生活上の注意点
黒目が大きくなるような薬を使うことにより急性緑内障発作がおこりやすくなります。緑内障の方に使ってはいけないと言われている薬のほとんどがこのタイプです。
抗ヒスタミン薬 (乗り物酔いやアレルギー) 風邪薬 向精神薬 睡眠薬 安定剤
消化器の内視鏡検査などにつかわれる腸の動きをおさえる薬
全身麻酔をかけるときにつかわれる副交感神経をおさえる薬
これらの薬を使う必要がある場合には必ず眼科主治医にご相談ください。レーザー虹彩切開術を行うことにより急性緑内障発作をおこすリスクを減らすことが出来ます。