目の花粉症について
(最終更新日:2024/03/01)
著者
上江田信彦
医学博士
日本眼科学会認定 眼科専門医
花粉症は春や秋によくあるアレルギーで、くしゃみや目のかゆみをおこします。日本では多くの人がこの病気に悩まされています。主な原因はスギやヒノキの花粉です。花粉症は早めに治療を始めることで、症状を軽減できます。
目次
花粉症とは
花粉について
症状
診断
セルフケア
・花粉情報の活用
・外出時の注意
・花粉を室内に持ち込まない
・人工涙液・ホウ酸水の点眼
・目を冷やす
治療
・抗アレルギー薬の点眼
・ステロイド薬の点眼
・抗アレルギー剤の内服
花粉症とは
花粉症は植物の花粉が鼻や目などの粘膜に接触することによっておこるアレルギー性の病気です。花粉症により起こる結膜炎は花粉性結膜炎とも呼ばれます。
日本の最新の研究では花粉性結膜炎の患者さんは人口の45.4%、なかでもスギ・ヒノキによる花粉性結膜炎の方は人口の37.4%を占めると報告されています。
花粉が飛散する前から治療を始めると症状が軽くすみますので、お早めに医療機関を受診することをおすすめします。
花粉について
2~5月はスギ、ヒノキなど,4~10月はカモガヤなどのイネ科類、8~10月はヨモギ,ブタクサなどの雑草類の花粉が飛散します。
症状
目のかゆみが最も多く,充血,眼脂,ころつきなどもよくおこります。まぶたにもアレルギー性の炎症(花粉性眼瞼炎)をおこすこともあります。また、65〜70%の方がアレルギー性鼻炎をおこしてくしゃみ、鼻水、鼻づまりなどがおこります。
診断
花粉の時期に悪化する目のかゆみや充血があり、まぶたの裏にアレルギー性の炎症があれば目の花粉症と診断できます。涙の検査や採血でアレルギー反応が検出されると診断は確実になります。採血でアレルギーの原因を調べておくと、花粉症の予防やセルフケアに役立ちます。
セルフケア
花粉情報の活用
アレルギーをおこす花粉の飛散時期を知っておくと、花粉症の回避に役立ちます。最近は花粉の飛散開始日,毎日の飛散予測などの花粉情報をインターネットで入手できるようになっています。花粉飛散量の多いときにはできるだけ外出をひかえるようにしましょう。
外出時の注意
花粉の飛散時期には、花粉から
や鼻を保護するためにはメガネやマスクを使用するといいでしょう。花粉を避けるための専用のゴーグル型メガネは大変有効ですが、普通のメガネでも に入る花粉量を減らすことが出来ます。コンタクトレンズを使っている はメガネに切り替える がいいでしょう。雑草類やイネ科類の花粉はスギやヒノキなどと違って遠くまでは飛びませんので、草むらに近づかないだけでも花粉症の予防にります。しかし近隣で大規模な草刈りがあると花粉が大量に飛ぶことがありますので注意が必要です。
コートなどはなるべく滑りの
い生地で出来たものを使うと、花粉がつきにくいです。花粉を室内に持ち込まない
花粉飛散量の多い日には、窓を閉め、布団を屋外に干さないようにしましょう。衣類の表面についた花粉を持ち込まないために、外出時はコート、マフラー、帽子などを使用し、これらの衣類は玄関に入る前に脱ぐようにすると
いでしょう。また、外出から帰宅したときの洗眼、うがいなども有効です。室内に入った花粉を除去するためには電気掃除機による定期的な掃除が大切です。また空気清浄機を利用するのもよいでしょう。
人工涙液・ホウ酸水の点眼
水道水で を洗うのは涙の状態が不安定になり、ドライアイになりやすくなりますので くありません。
最近市販されているカップ式の洗浄器具はまぶたについた花粉を に入ることがありますのでお できません。
目を冷やす
を閉じてぬれタオルなどを の上に置くことにより のかゆみがやわらぎます。
治療
抗アレルギー薬の点眼
花粉症にはまず抗アレルギー薬の点眼を使います。花粉飛散予測日の約2週前から抗アレルギー薬の点眼を始めると、症状が出るのが遅くなり、花粉飛散ピーク時の症状が軽くすみます(初期療法)。毎年特定の時期に強い症状が
る場合は、花粉飛散予測日の前に眼科を受診することをお します。ステロイド薬の点眼
抗アレルギー点眼薬だけではかゆみが十分におさまらない場合はステロイド薬の点眼薬を追加します。
ステロイド薬の副作用として、眼圧上昇,感染症,白内障などが すことがあります。特に子供さんでは眼圧上昇を すことが多いので、ステロイド薬使用中は定期的に眼圧をチェックする必要があります。
ステロイド薬の軟膏
花粉性眼瞼炎でまぶたにかゆみがあらわれたときに使います。
副作用としてはステロイド薬の点眼と同様に眼圧上昇,感染症,白内障などを
すことがあります。抗アレルギー薬の内服
アレルギー性眼瞼炎やアレルギー性鼻炎をおこしている場合や点眼を使えない場合などに使います。
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参考資料